2005年11月02日

タリウム(Ti)備忘録

昨日辺りから、母親に毒性の強い劇物を飲ませ、症状をブログで公開していた女子高生のニュースが話題になっています。

母親の容体悪化をブログに記録 殺人未遂の少女 (朝日新聞)
 母親を劇物のタリウムで殺害しようとしたとして、殺人未遂の疑いで逮捕された静岡県東部の県立高校1年の女子生徒(16)とみられる人物が、母親の容体が悪化して入院するまでの経過などをブログに書き込んでいたことが1日、静岡県警の調べでわかった。男性名で書いており、一部に想像や架空の話が含まれている可能性があるが、県警は事件の状況や動機の解明につながる手がかりになるとみて、分析している。

 ブログは6月下旬から10月中旬まで続いていた。8月中旬から下旬にかけての書き込みには「眩(まぶ)しいほどに晴れ、酢酸タリウムが届きました。薬局のおじさんは医薬用外劇物の表示に気づかず、必要な書類を通すことなく渡した」とあった。タリウムの水溶液を過って指に付け、腹痛になったとの記述もある。

 8月19日には「昨日から母の具合が悪いです。全身に発疹が起こり……」と書いている。9月12日には「ついにほとんど動けなくなってしまいました」。さらに10月2日に母が入院したとあり、症状が出始めた時期、入院時期ともに警察の調べと合致している。

 ほかに毒物を使った動物実験の記録なども書かれていた。同級生に嫌われているとの認識や孤独感に触れた記述もある。 1日に記者会見した校長は、生徒が所属していた化学部の顧問から聞いた話として「生徒は特に薬品関係に興味をもっていたようだ」と語った。

事件そのものの背景も興味深いですが、タリウムという(私には)馴染みが薄い物質が使われたことに驚きました。個人的に毒物に興味があり、今まで色々調べてきたのですが、恥ずかしながらタリウムの性質について無知だったのです。

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2005年10月14日

半植物「ハテナ」の発見

太古の昔、地球上に初めて現れた原始生物は、酸素無しで有機物を分解してエネルギーを得ていた(つまり嫌気呼吸)といわれています。呼吸によって地球上の二酸化炭素濃度は次第に上昇しましたが、やがてこのような環境に適応する生物が現れました。植物です。植物は二酸化炭素と水と光エネルギーを用いて有機物を作り出して酸素を放出(光合成)を行います。
【参考サイト】『原始生命の誕生』テキスト版(関西学院大学理工学部助教授 藤原伸介氏)

さて、上に書いたような「原始生物→植物」の進化の途上にあるかのような珍しい微生物が日本で発見されたそうです。「ハテナ」と命名されました。

不思議な微生物、藻食べて植物に大変身 名は「ハテナ」(朝日新聞)
 ハテナは鞭毛(べんもう)虫の一種で、大きさは100分の3ミリ程度。無色のものは口のような捕食器官を持ち、特定の緑藻の仲間を細胞内に吸い込む。この藻は細胞内で共生、緑色になったハテナからは「口」が消え、光合成をするようになっているらしい。

 緑色のハテナは、緑色と無色の二つの細胞に分裂して増え、共生する藻は緑色細胞にだけ受け継がれていた。もう一方の無色細胞にはやがて捕食器官ができて、藻を取り込むようになる、と考えられている。

 一般の植物で光合成を担っている葉緑体は、太古には独立した藻類だったとの学説が有力。ハテナの発見は、植物の祖先が藻類を取り込んでいった様子をうかがわせるものだ。

 《堀口健雄・北海道大学大学院理学研究科助教授(系統分類学)の話》葉緑体を持たない生物が藻類を細胞内に共生させ、コンブやワカメなどに進化していく初期段階の現象と考えられ、かつてもこうした生物が存在した可能性がある。共生藻を取り込んだか否かで細胞構造を柔軟に変化させるこうした生物がいるとは、だれも予想しなかった。画期的な発見だ。


「ハテナ」という安直な命名にちょっと笑いました。それにしても、悠久な地球の歴史を感じさせてくれる大発見だと思います。
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グレープフルーツの脂肪燃焼効果

グレープフルーツの香りを嗅ぐと脂肪燃焼効果があり、ラベンダーの香りを嗅ぐと逆に脂肪が蓄積する、という実験結果が発表されました。

グレープフルーツの香りで脂肪燃焼 阪大研発表(産経新聞)
 グレープフルーツの香りをかぐことで脂肪が燃焼されることが、大阪大蛋白質研究所の永井克也(ながい・かつや)教授(神経科学・生化学)らの研究で裏付けられ、13日、札幌市で開催されている日本肥満学会で発表された。

 これまでもグレープフルーツの香りにダイエット効果があるといわれてきたが、科学的な証拠はなかった。一方、ラベンダーの香りは正反対の作用を及ぼし、脂肪を蓄積させることも、同じ研究で明らかになった。

 永井教授らは、グレープフルーツから抽出した精油を10分間、実験用ラットにかがせた。その結果、脂肪が分解され血中のグリセロール濃度が2倍以上になった。また、体温が上昇し脂肪が燃焼されていることが分かった。

 同時に、交感神経の活動が弱まり食欲を低下させ、においをかいだラットはかいでないラットと比べ、体重が約5%減った。

 永井教授は「体温が上がることなどは人間でも分かっている。ただ、体内時計が乱れると効果がなくなるので、規則正しい生活を送ることが大切。またかぐ量にも注意する必要がある」と話している。


しかし、これはラットでの実験結果。人間でどの程度の効果があるか記事からは読み取れません。仮に人間にもそれなりの効果があったとしても、グレープフルーツの匂いだけで痩せられるわけではないのですが、近い将来関連商品がポコポコ売り出されそうな予感がします。

ここからは個人的な呟き。ダイエットかあ。近々会社の健康診断もあるので、そろそろ本腰を入れないといかんかな。
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2005年10月13日

ゼロ・トレランスは効果があるか?

「ゼロ・トレランス」とは、「非寛容政策」のこと。本来は米国産業界で「不良品を絶対に許さない」という品質管理の考え方を示す言葉だそうです。

1990年代に入り、米国では荒廃する教育現場で「ゼロ・トレランス」が実践され、少なくとも一部の学校では成功をおさめています。

日本でもごく少数の私学で取り入れられているようですが、このたび、文部科学省が一元的な導入の検討をはじめたそうです。
文部科学省:児童生徒に規律厳守 米国方式の導入検討(毎日新聞)
 「トレランス」は英語で「寛容さ」を意味し、ゼロトレランスは文字通り「寛容さゼロ」。米国では、服装の乱れからドラッグや暴力、銃器の持ち込みまで問題行動の軽重に応じた懲戒規定を設けている学校が多い。規定適用には一切例外を認めず、重大な問題を起こした子にはオルタナティブスクール(問題児を集める教育施設)への転校や退学処分を科す。

 文科省は、昨年6月に起きた長崎県佐世保市の小6児童殺害事件を受けて「児童生徒問題行動プロジェクトチーム」を省内に設け、昨秋、再発防止策をまとめた。だが、今年に入って山口県立光高校で男子生徒が爆発物を教室に投げ込み、生徒多数を負傷させるなど重大事件が相次ぎ、プロジェクトチームを再開。来春までにまとめる新たな防止策に「ゼロトレランス方式の調査研究」を盛り込む。

 文科省児童生徒課の坪田真明課長は「問題行動への対応は現状では教師や学校によりまちまちだが、この方式で一元化でき、規律と罰の事前明示で子どもの自覚もうながせる。米国の方式を日本にそのまま持ち込むことは難しいが、参考にできる部分はあるだろう」と話している。

うーむ、これは賛否両論ありそう。実際、記事では両極端の識者の意見が紹介されています。

では、私の考えを少々。

ゼロ・トレランスを導入しないとどうしようもないと思われるほど荒廃した学校は確かに存在すると思われます。しかし、日本で一元的に導入するのは疑問。学校の荒廃の度合いは、地域や、生徒の学力等によって様々だからです。生徒または保護者が、非寛容な学校と寛容な学校のどちらに入学するか選べる程度に導入するのが良いかも知れません。

【関連サイト】
米国の教育現場での「ゼロ・トレランス」については、次のサイトが参考になります。成功例や問題点など、詳細に書かれています。
ゼロトレランスの現状(US-Lighthouse.com)
posted by D Slender at 13:47 | ムンバイ 🌁 | Comment(1) | TrackBack(3) | 科学・教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月05日

チョークの毒性

チョーク(白墨)に関して、私はどういうわけか無害という先入観を持っていたので、次のニュースには少々驚きました。
異物混入:やかんの茶にチョーク、12人入院 神戸の中学(毎日新聞)
 4日午後0時50分ごろ、神戸市中央区楠町4の市立楠中学校(加地公男校長)で、給食時間にクラス共用のやかんの茶を飲んだ2年3組の生徒が腹痛を訴えた。茶には黄色い異物が混入されており、同校は生徒計14人を近くの病院で受診させ、うち12人がおう吐などの症状で入院。病院から通報を受けた兵庫県警生田署は傷害の疑いなどで調べているが、異物を鑑定したところ、黄色いチョークと判明した。

 同署などによると、やかんの茶を飲んだのは2年3組の生徒38人のうち男子10人、女子4人。やかんは1個で、生徒の1人が「茶の味が変」などと訴えたため確認すると、コップの底に粉末の黄色い異物が残っていた。茶を飲んだうちの生徒が相次いで腹痛などを訴えたことから、担任教諭が14人を近くの神戸大医学部付属病院に徒歩で連れて行き受診。全員軽症とみられるが、おう吐や下痢の症状が出ていた男子8人、女子4人の生徒が経過入院、2人は帰宅した。同病院が同日夕、同署に通報した。

犯人が黄色いチョークを選んだ理由は、お茶に入れても目立たないようにするためなのでしょうね。

さて、チョークの成分の毒性について、調べてみました。日本中毒情報センターのサイト内の「中毒情報データベース」に、「チョーク」の項(PDFファイル)があります。長めに引用します。
[概要]
チョークの主成分は炭酸カルシウムか硫酸カルシウム(約98%含有)のどち
らかであり、それに色素を微量加えたもの。1 本は約5g である。

[毒性]
炭酸カルシウム:ヒト経口推定致死量 15g/kg 以上 (1)
硫酸カルシウム:ほとんど無毒 (2)

[症状]
炭酸カルシウム
経口:急性の服用では軽い胃腸症状の可能性あり。高カルシウム血症や他の中毒症状は急性の服用では報告されていない(2)
眼 :炭酸カルシウムは刺激を生じない(2)
吸入:中毒は生じないが、咳や呼吸困難を生ずることあり(2)

硫酸カルシウム
経口:硫酸カルシウムは無毒であるが、きわめて大量に服用すると、物理的な腸閉塞(とくに幽門部)の可能性あり(2)
吸入:上部呼吸器管に刺激があるかもしれない(2)

[処置]
家庭で可能な処置(2)
水分補給(成人120〜240mL、幼児15mL/kg 以下)

医療機関での処置(2)
経口:炭酸カルシウム・・・急性の服用で中毒となることはほとんどない。胃洗浄などの処置は他の物質を一緒に服用していないなら不要。症状があれば対症療法
硫酸カルシウム・・・グリセリン、ゼラチン溶液または大量の水の投与は、薬物の硬化を遅くする。もし閉塞の症状が生じれば外科的処置を検討
吸入:咳や呼吸困難があるなら、呼吸器管の刺激、気管支炎、肺炎を考慮。要すれば、100%酸素投与などで補助呼吸

硫酸カルシウム(別名:石膏カルシウム)は無毒であるが、炭酸カルシウムは弱毒性なのですね。知りませんでした。昨日の事件で被害者に胃腸症状が出ているということは、炭酸カルシウムを主成分とするチョークだったのでしょう。日本理化学工業のダストレスチョークかな?

炭酸カルシウムの推定致死量が15g/kg以上ということは、体重67kgの私はチョークを1kgいっぺんに食べれば死ぬ可能性大です。食べないように気をつけます。
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2005年09月23日

小学生の校内暴力

小学生の校内暴力、最悪の1890件…対教師32%増(読売新聞)
全国の公立小学校で児童が昨年度に起こした校内暴力は1890件に上り、1997年度の調査開始以来、過去最悪となったことが22日、文部科学省のまとめで分かった。

 中でも教師への暴力が3割以上増えており、件数が減少に転じた中学校、高校とは対照的な結果となった。

私が小学生の頃にも、もちろん教師への不満はありましたが、教師に暴力を振るおうという発想をする児童はいなかったはずです(学校や地域による違いはあるかも知れませんが)。

私が子どもの頃に比べて、辛抱ができない子どもが増えているのは確かだと思われます。

原因は何なのでしょう。教師? 親? 社会?

教育制度や教師免許制度は当時も今も殆ど変わりません。だから、問題児童の親に原因がある可能性は極めて高いと思われます。

他に、TVゲーム(GBなどの携帯電子ゲームも含む)の普及も遠因になっている可能性はあると思いますが、客観的な証拠を提示できません。

どうすれば問題が解決できるのか? 短期的には、問題児童に対しては厳罰主義で臨んで構わないと思います。長期的には、親の世代の人々の意識改革が必要でしょうが、具体的な方策は? と問われると難しいです。
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2005年09月20日

オナラ臭い消しグッズなど

ライブドアニュースの「ファンキー通信」は、時々個性的な記事で愉しませてくれます。他のニュースポータルにはないライブドアならではの個性。

今日の一発目の「ファンキー通信」は、見事に私の心を捉えました。

【ファンキー通信】悩み無用! オナラし放題パンツ
屁の臭いを消してくれるグッズ「ガスメディック」の紹介です。
 ガスメディックは、アメリカ軍の化学防護服用に開発された技術をもとに生まれた、活性炭フィルター入りのクッションだ。この活性炭がオナラのくさいニオイを、消臭してくれるという。さらに、オナラの音を抑えて、拡散するフィルターフォームも入っているのだ。

 さらにガスメディックのパンツタイプのガスメディックパンツという商品もある。ともに洗濯ができるので、うっかり汚してしまっても安心だ(消臭効果はクッションタイプで約6カ月、パンツタイプで約3カ月)。

臭いだけではなく音も抑えてくれる優れモノ。

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2005年08月12日

指の第1関節と第2関節の間の毛

私は左手の中指と薬指、および右手の薬指の第1関節と第2関節の間に毛が生えています。それぞれ2本ずつ。生えてくる度に抜いています。もちろん、抜いてもまた生えてきます。

かなり前に別所に書いたことですが、「指の第1関節と第2関節の間に毛が生える」という形質は優性遺伝するそうです。ここで書くのは初めてです。なお、「優性遺伝」についてご存知ない方は、たとえばWikipediaをご覧ください。「優性遺伝」とは“優れた性質の遺伝”ではないことが判るでしょう。そもそも「第1関節と第2関節の間に毛が生える」のは全然優れていないような気がします。ちなみに、私の父も同じ形質を持っています。

ところで、以上の情報は2年くらい前に関西テレビの「あるある大事典」のサイトから得ましたが、現在、そのページは削除されたのか、見ることができません。勿体無いので、キャッシュから救出してここに公開します。以下、限りなく転載に近い引用になります。やはり、原則としてWeb pageは削除しないのが望ましいですよ。

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2005年07月23日

BTBとフェノールフタレイン

前記事と同様、炭酸水素ナトリウムに関連がある記事です。職場に向かう電車の中で書いています。

私は休憩中によくFKのBEBを食べますが、BEBを食べていると中学の理科の授業で登場したBTB溶液のことを思い出します。酸性、中性、アルカリ性の全てを判別できる万能指示薬というイメージを持っていました。

一方、フェノールフタレインも有名な指示薬ですが、これはアルカリ性になると赤くなり、酸性は判別できません。ある意味で不完全な指示薬というイメージを持っていました。

リトマスもある意味不自由。酸性を判別するには青のリトマスが、アルカリを判別するには赤のリトマスが必要です。

ふと、「何故万能なBTBに統一せずに、不自由なフェノールフタレインやリトマスなどを使うのだろう?」という疑問を抱きました(中学当時は疑問には思いませんでしたが)。

そこで、調べてみたところ、次のようなQ&Aを見つけました。
BTBとフェノールフタレイン(@nifty化学の広場)
炭酸水素ナトリウムの熱分解のとき、なぜフェノールフタレインで炭酸ナトリウムの溶液の性質を調べるのか??BTB溶液ではだめなのですか??教えてください。お願いします。

回答の中から一部引用します。
炭酸水素ナトリウムが熱分解したかどうかを調べるのに、なぜフェノールフタレイン溶液を用いるかということですと、炭酸水素ナトリウムは溶液は上に書いたようにフェノールフタレインを入れても無色です。ところが、炭酸ナトリウム水溶液はアルカリ性が強いので、赤色になります。それで分解したことがわかりますね。ところが、BTB溶液はちょうど中性付近で色が変わる指示薬です。ですから、炭酸水素ナトリウム溶液でも、炭酸ナトリウム溶液でもどちらも青色で区別がつかないのです。

なるほど! BTBは中性(pH7)付近で色が変わってしまう一方、フェノールフタレインはやや強いアルカリ(pH8.3)で色が変わるというわけですか。だから両者を使い分ける必要があるのですね。納得しました。

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2005年07月07日

薬剤耐性淋菌の増加

このブログでこの種の話題をとりあげるのは珍しいのですが…

淋病 注射が標準治療(読売新聞)
 かつて性感染症の代名詞であった淋病(りんびょう)(淋菌感染症)。ペニシリンなどの抗菌薬の登場で感染者は減り続けてきたが、10年前から再び増加に転じた。

 予防に関心が薄い若者の性行動に加え、背景には抗菌薬が効かない耐性菌の出現がある。意外なことに、口を介した感染も広がっている。

 慈恵医大泌尿器科教授の小野寺昭一さんらの研究によると、経口抗菌薬は発売当初の有効率がほぼ100%であったものでも、10年余りで20%程度に低下してしまうものが多い。不適切な使用により耐性菌が増えたためだ。

 小野寺さんは「現在、淋病を完全に治せる経口抗菌薬は存在しない」と言う。このため、日本性感染症学会が昨年作った指針では、経口薬ではなく、抗菌薬の注射を標準的な治療法に定めている。

淋病の治療といえば、ガラス板法による検査 + 飲み薬というイメージがあったのですが、最近は変わってきたようです。経口薬が効かなくなった以上、注射もやむを得ないでしょう。

淋菌に限らず、抗生物質の不適切な使用により、薬に耐えられる細菌が出現することは多いのです。
【参考】 抗生物質が効かなくなる─耐性菌の恐怖─(at home web)
抗生物質が効かない少数の菌が生き残り、遺伝子が急速に広がっていくことにより、耐性菌が
できるというわけですな。

近年の性感染症といえばクラミジア感染症が最多数派になっていますが、男性に限れば、古典的な性感染症である淋病(淋菌感染症)が現在でもTOPを争っています。
【参考】 わが国における性感染症の現況(東府中病院)
しかし、男性の場合、淋菌感染症の排尿痛や膿などの症状の激しさはクラミジアの比ではありません。可能な限り罹るのを避けたい病気です。

最後に、淋病の実体験が書かれたブログ記事にリンクしておきます。

淋病の痛みは、シャレにならない(ブログ「フリーターで淋病になったら」より)
この方は病院に行かずに漢方薬で治したとのこと。へえ、そんなことができるのですね。とは言え、ご本人も書かれている通り、病院に行く方が安全かつ迅速に治ります。

淋病(ブログ「俺思うゆえに俺あり」より)
9エントリにも及ぶ闘病体験記は読み応えがあります。
posted by D Slender at 09:40 | シンガポール ☁ | Comment(2) | TrackBack(3) | 科学・教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月28日

「教職大学院」具体化

先日、教員養成のための「専門職大学院」構想というエントリを書きました。この構想は、更に具体化されたようです。
教職大学院:07年4月にも開校 文科省が方針固める

文部科学省は27日、教員の専門性と指導力を高める専門職大学院を、07年4月にも開校する方針を固めた。名称は「教職大学院」とし、修業年限は原則2年。院生に課す教育実習の期間を8週間とし、現在学部生に課している4週間から倍に引き上げるなど、学力向上のほかいじめや不登校などの問題に柔軟に対応できる教員を養成する。

修了年限は原則2年とするものの、現職の教員が入学することに配慮した1年コースや、教員免許を持たない学生や社会人向けの3年以上の長期コースも設ける。修了者には「教職修士」の学位を与える。

早ければ再来年に開校されるということですな。

実現すれば、素養と社会経験に恵まれた優秀な社会人の方々が高待遇の教員になれる道が開かれることになります。私が「教職大学院」構想を高く評価する最大の理由はこの点にあります。
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2005年06月15日

ホリジュク

ライブドア堀江貴文社長の大学受験用英単語集「ホリタン」は世間的に大きな話題になりましたが、5月30日には英熟語集が出版されていました。
 堀江式英熟語学習帳(ライブドア・パブリッシング)
あれ? 単語集の方の書名には「ホリタン」が入っていましたが、今度の正式書名には「ホリジュク」が入っていないのね。とは言え、表紙カバーにはちゃんと印刷されているので、ここでは親しみを込めて「ホリジュク」と呼ぶことにします。

今日、休憩中に現物に目を通してみました。簡単な感想を。

章立ては
01 形容詞句・副詞句
02 be動詞句
03 構文的な表現
04 動詞句1(動詞+前置詞)
05 動詞句2(動詞+副詞)
06 動詞句3(動詞+前置詞句)

となっていて、しかもそれぞれの章の内部ではアルファベット順に配列されています。「ホリタン」が“大まかな意味”による配列になっていたのに比べると至って普通。

「ホリタン」には完全な例文が余り収録されていませんでした。個人的には単語集はそれでいいと思うのですが、物足りなく感じた人は居たことでしょう。

ところが、今度の「ホリジュク」には一つ一つの語句に例文が付されています。しかも、例文の多くは過去の堀江氏の発言から採られています。例文だけでも「ホリジュク」を手に取る価値はあると思います。
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2005年06月14日

狂犬病

吸血コウモリにかまれ11人死亡=800人にワクチン接種−ブラジル
アマゾン川河口に位置するブラジル・パラ州の密林地帯で、チスイコウモリにかまれた住民が次々に狂犬病を発症し、13日までに子供10人を含む11人が死亡した。同州では1年余り前にも2カ所でチスイコウモリ経由の狂犬病が流行し、計21人が死亡している。

狂犬病は、一旦発症したらほぼ100%死にます。“死亡率100%”なんて病気は滅多にありません。人間の編み出した技術は様々なことを可能にしてきましたが、狂犬病ウイルスを無効化することは出来ていないようです。幸いワクチンさえあればほぼ完璧に防げるので、日本では1957年以降狂犬病は発生していないそうです。しかしながら、海外では毎年何万人もの人々が狂犬病で命を落としていると推定されています。今回のニュースから分かるとおり、吸血コウモリの生息地に行く際にも注意せねばなりません。

【狂犬病のことがわかるサイト】
狂犬病(学協会情報発信サービス)
狂犬病(国立感染症研究所)

【追伸】
他に、異常プリオン蛋白摂取によって発病するクロイツフェルト・ヤコブ病も、一旦発症したら助からない病気です。狂犬病とクロイツフェルト・ヤコブ病以外に“死亡率100%病”は存在するのでしょうか。
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2005年06月13日

ありえぬ設定の入試問題

私立中入試算数 問題文に問題あり あり得ぬ設定多数(産経新聞)

「濃度30%の食塩水」「一晩で別の生物に変身する生き物」−。私立中学の算数の入試問題で、科学的にありえない状況設定に基づいた入試問題が多数出題されていることが、東京理科大の芳沢光雄教授(数学教育)らの調査で分かった。読み方によっては正解が変わる、あいまいな問題文も目立つ。相次ぐ国際調査で日本の子供たちの「読解力不足」が指摘されているが、教師たちもそれを責められない状況が生じている。

複数の解釈ができる問題文は入試問題としては失格だと思います。そのような作問をする教師には「文章力」の修行を命じたい気分です。

でも、
「濃度30%の食塩水」「一晩で別の生物に変身する生き物」
のような非現実的な設定については、数学や算数の問題である限りは構わないと私は思います。まあ、このように文句をつける人もいるので、現実的な設定にしておくのが無難なのでしょうが、解く立場の生徒はそんなこと余り気にしないんじゃないかなあ。それに、数学という学問は、現実に応用されることもありますが、非現実的なことを扱う“虚学”の側面も持っています。学年が進むにつれ、虚学の色彩が強くなってきます。

案外、小学生のうちから「数学は理科などとは違いますよ」と伝えるための教育的配慮として、あり得ない設定にしているのかも、というのは考えすぎでしょうか。多分考えすぎです。
posted by D Slender at 01:17 | シンガポール ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 科学・教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月07日

教員養成のための「専門職大学院」構想

今朝の読売新聞のTOPはこの記事でした。
教師力向上へ修業2年の専門大学院…中教審が構想
 修業年限は原則2年だが、教員免許のない社会人に対応するため、専門職大学院に在学しながら学部の教職科目も履修できる「長期在学コース(3年)」を設けることも可能にする。

 教育内容については、教材研究や授業計画、生徒指導などを全員が学ぶ「共通科目」とし、心理学や集団学習論などの「コース別選択科目」も設ける。必要に応じて現地調査や実務実習なども行う予定で、指導者には経験豊富なベテラン教師らを「実務家教員」として充て、子どもたちの非行問題などに精通した家庭裁判所の調査官経験者らを採用することも検討中だ。

昨年7月の文科省提言「理科、数学の教師は修士卒以上に」は(現在の大半の生徒の立場から見れば)教師の質を低める改悪案としか思えませんでしたが(参考:教師の資質?)、それに比べると今回の中教審の構想は現実に即した良い案だと思います。

教員免許が無い社会人で3年の在学が必要なのですか。うーむ、素質のある人(学力 or コミュニケーション能力のいずれかに秀でている人)がもっと手っ取り早くなれるシステムにする方がbetterだと思います。同時に、素質の無い人は早めに切り捨てるシステムもあった方が良いかと。それには現行の教員免許の抜本改革が必要になりそうなので無理かな。

タイトルの件とは少し離れた追記
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2005年05月25日

認知症

昨年末頃から「痴呆症」が「認知症」と呼ばれ始めたことに昨日ようやく気付きました。世事に疎いもので…

「痴呆」という言葉を蔑視的に捉える人が居る、という理由での呼称変更です。
【参考1】「痴呆」に替わる用語に関する検討会資料(2004年6月 厚生労働省)

変更の経緯については、次の記事がわかりやすいです。
【参考2】「痴呆症」から「認知症」に名称変更(asahi.com)
厚労省の公開アンケートでは「認知障害」が最多の票を集めたものの、精神医学で既に使われている用語だったので「認知症」に決定したとのこと。

しかし、「認知症」という呼称に反対する人も多いようです。「●▲症」といえば「●▲という症状が現れる病態」を指すことが多いものです。「蓄膿症」「円形脱毛症」「尿毒症」などは全て該当します。ところが「認知」などという症状はありません。違和感の主な原因はコレでしょう。私自身も違和感を覚えます。

反対派からは、「認知障」や「認知失調症」のような代案も出されています。どう考えてもこちらの方がbetterだと思いますが、一度決まったことは簡単には覆らないもの。厚労省では今年2005年を「認知症を知る1年」と位置づけて普及に努めているので、いずれ定着してしまうのではないか、と消極的に予測しておきます。

それはそれとして、この問題の根源は「痴呆」を蔑視するような言動を行う人々の存在だと思います。私自身、日常の中で無意識のうちに蔑視的言動をしていないか自問しながら生きていこうと改めて決意した次第です。

【参考3】認知症(大阪大学人間科学部の篠原一光氏のWiki)
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2005年05月23日

HIV感染者を拒否する歯科医

HIV感染者への診療、歯科医3割「断る」 厚労省調べ(朝日新聞)
全国の歯科医の3割がエイズウイルス(HIV)感染者の診療を「原則として断る」と考えていることが、厚生労働省の研究班(主任研究者=五島真理為・HIVと人権・情報センター理事長)の調べで分かった。これを受けて厚労省は、適切な感染防止策を講じれば問題ないとして全国の歯科医に対し、診療を拒否しないよう求める通知を都道府県を通じて出した。

診察拒否の理由は「消毒・滅菌が困難」が4割を超えて最多だった。研究班は「HIVの感染力は極めて弱く、はるかに感染力が高い肝炎対策がとられていれば問題ない」と指摘している。

HIVの感染経路は性行為感染、母子感染、血液を媒介する感染に限られ、しかも感染力はさほど強くないことは有名。普通の歯科医が行っているような手袋等の防御手段で十分に防げると思われます。

歯科医には診療拒否する権利はあると思いますが、専門家であるはずの医療関係者の意識としてはいかがなものか、という感じです。

【関連ページ】 診療拒否する3割の歯医者さんは次のページを読むと良いと思います。
医療機関内におけるHIV感染予防対策
posted by D Slender at 00:10 | シンガポール ☀ | Comment(2) | TrackBack(0) | 科学・教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月08日

堀江社長が半年で東大に受かった理由

偶然見つけたQ&A

質問:何故、堀江社長は半年で東大に受かったのでしょうか?(教えて!goo)
ライブドアの堀江社長は高三の夏まで遊びまくり、半年で東大文三に合格したそうですがこれは堀江社長が単に頭が良いからなのでしょうか?これが理系だったら理科に時間をとられ半年では無理だったように思います。


端的に言えば、ある程度以上の才能を持ち合わせた人が半年間でそれなりの努力をしたから受かった、と言えると思います。

posted by D Slender at 11:53 | ローマ ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 科学・教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月06日

続・小論文自動採点

今年の2月の記事小論文自動採点の続きです。

コメント欄で、作文・小論文の自動採点ソフト/森リンをご紹介頂いたのですが、試していませんでした。

そこで、次の文章を送信して採点してもらいました。先日書いたブログ記事の趣旨を変えずに若干の修正(常体に変えるなど)をした文章です。
   ネット右翼の定義
   D Slender
 近年、ネット上で見かける政治的文章には、保守派的色彩のものが増えていることは確かだ。そのような文章の書き手は、一部の人からは「ネット右翼」と呼ばれている。現時点で、「ネット右翼」とは具体的にどのような人たちなのか、考えてみたいと思う。
 まずは、今まで何人かの人が試みた定義を、私なりに論評しておこう。
 「軍隊と集団的自衛権を肯定する者がネット右翼」という定義が存在する。わかりやすい定義だが、個人的に少々不満だ。今の自衛隊は実質軍隊。自衛隊の存在を否定する人は希少なのではないか。集団的自衛権を否定する人は未だに少なくないと思われるが、イラクへの自衛隊派遣を機に、左派に共感を覚えつつ集団的自衛権を肯定する層も生まれているだろう。何より、この定義を認めれば、私自身がネット右翼に属してしまうことになり、不満である。
 「反日デモに関して、中国(韓国でも良いか)を罵倒する人はネット右翼」という定義もある。明快かつ結構適切な定義だと思う。この問題に関しては、他国を罵倒する人、ぼやくだけの人、「日本も反省すべし」と主張する人、と3通りにはっきり分かれるように感じられる。
 最後に、私自身が考えた定義を付記しておく。
 中国での反日運動に対する日本の各政党の主張を見ると、多くの点については一致している。たとえば、デモを肯定したり尖閣諸島の放棄を主張したりするような政党はない。主な違いは、首相の靖国参拝の是非だと思われる。この問題の主たる論点のひとつは、戦前の軍部の人たちをリスペクトするべきか否か、ということである。要するに、第2次世界大戦前の日本に対する評価の違いが、現代の日本での政治思想の流れを語る上で無視できないと感じられるのだ。
 そこで、私は次のような定義を採っておこう。古臭い定義かも知れないが、教科書検定が中韓で問題になっている現状を考えると、外せない論点だと思うからだ。
 自由主義史観(または歴史修正主義)の主張に概ね同意する人は「ネット右翼」である。ここでの自由主義史観とは、簡単に言うと「日本の戦前の歴史を肯定的に捉えよう」という考え方だ。「新しい歴史教科書をつくる会」のサイトの主張に概ね同意できるかどうか、と言い換えても良いかも知れない。
 以上、私自身の主張は明示せずに「ネット右翼」の定義について述べてた。気が向いたら近日中に、中韓での反日運動に関する私自身の主張を書いておこうと思う。その際、左右いずれの人々とも議論するつもりはないことを断っておく。


次のような結果が出ました。結果を見る
posted by D Slender at 02:49 | ローマ ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 科学・教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年04月07日

「ホリタン」私的書評

ライブドア社長・堀江貴文氏編集の英単語集「堀江式英単語学習帳 ホリタン」の実物をざっと読んだので、軽く書評します。大学受験用英単語集としての評価です。

単語は「人間関係に関わる単語」「忍耐に関わる単語」「驚いたときの単語」など、大まかな意味ごとのセクションに分かれて配列されていて、各セクションの冒頭には、いかにも堀江氏流の短い人生訓のようなものが付されています。

見出し語は2016語。大学入試では標準的な英単語が選ばれていて、難単語は殆ど見かけません。単語に関する説明は、短い用例は付されているものの、とても簡潔。

「速読英単語」や「もえたん」のような例文重視の丁寧な英単語集とは全く対照的。だから、単語帳を重視する勉強法を採る人や、単語帳を辞書代わりに使おうとする人などには向かないでしょう。

一方、折に触れて繰り返し眺めて記憶するような使い方には合っているかも知れません。文字通りの純粋な“英単語帳”という個性。有名な既存単語集では「ターゲット1900」に近い(ついでに値段も近い)個性を持つようですが、更にシンプルにした感じです。堀江氏もそんな感じで単語を覚えたのでしょうか。

本書中の彼の文章によると、高3の夏ごろから本格的に勉強を始めて東大に合格したとか。この点で、やはり非凡な才能の持ち主であることは確かでしょう。
posted by D Slender at 00:58 | ローマ ☀ | Comment(1) | TrackBack(0) | 科学・教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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