一般に、2chやブログなどで自転車の車道走行や歩道通行の是非に関する主張を書くと、荒れることが多いものです。特に、「車道を走る自転車が邪魔」などと書こうものなら、たちまち「自転車は車道左側通行だ」などと叩かれます。当ブログでは、叩く人々を“自転車車道通行原理主義者”と呼んでおくことにしましょう。
昨日、次のようなブログ記事を部分的に引用したコピペが2ch自転車板の様々なスレッドに貼られ、引用先エントリに2ch住人のアンチコメントが殺到しました。結局、ブログ主は今日になってから記事を全削除したようです。
車道を走る自転車。とくに派手で馬鹿のようななウェアを着込んだ連中のマウンテンバイク。
転べ。
なぜ奴らは車道を走るのか。歩道を走らないのか。轢いてもいいのなら、躊躇なく行くぞ、我輩。
邪魔。
今日も42号で3人ほど跳ね飛ばすところだった。
明らかに右側の路肩には歩道があるのに、左側通行がナンタラとルールがあって、歩道のない左側を走っているのか。
我輩もかつては自転車で東三河一帯を走り回ったからよく判るんだが、自動車の進行方向に逆らって走ると非常に疲れる。
左側通行とはじつに理にかなった動きであるのは確かだ。
しかし、歩道がなかったら諦めろ。
今日42号で見た奴らなんか、信号無視までしていたぞ。左右もロクに見ず、そのまま赤信号の横断歩道を通過した。
おいおい、これでも撥ねたら自動車が悪いっての?
お前らのタイムだかトレーニングメニューなんか知るか。そのための法律であり憲法だろうが。
それがなかったら、お前ら(派手派手自転車馬鹿連中)皆殺しだぞ。
対向車が来ているのに、ちんたら車道を走るな。抜かせないし、我輩の後ろの車は結構スピードが出ていて、ここで減速したら確実にクラクションで八つ当たりされるか、追突されるのだ。
我輩が何をしたって言うんだ?この嫌なシチュエーション。
ホント、あの車道をわざわざ走る自転車部?みたいな奴ら嫌い。
あんな連中を放っておいたら増長して、そのうち浜名バイパスでも東名高速でも我が物顔で走り出すぞ。
今のうちに抹殺せよ。競輪選手もどきのバカチャリどもめ。
トレーニングでもやるんなら、もっと山道とか砂浜を走るとかせい。
嫌なら死ね。
なお、消されたコメントは今の所はウェブ魚拓で見られます。
では、これから私の所感を述べます。
まず、ブログ主が記事を削除したことは極めて残念。批判的コメントに納得して自説の「非」を認めるなら、削除ではなく訂正エントリを書いて欲しいと思います。何故なら、一旦Webに公開した文章は世界共有の財産だと思いますし、仮に圧倒的多数の反感を買う内容だったとしても、見方を変えれば一分の理がある場合が多いからです。一方、批判コメントが殺到しても自説を曲げないつもりなら、放置しても良いでしょうし、炎上するのが嫌ならコメントだけ全削除すれば良いと思います(私ならそうします)。実名ブログや有名人ブログならコメント削除が更なる批判を呼ぶ可能性もありますが、匿名の非有名人ブログなら有効な手段です。
そして何より、反論コメントを書いた人々(2ch自転車板の住人が多いと思われる)には全く共感できません。コメントの中には「道路交通法で自転車は車道左側通行と決められているから、お前の主張はおかしい」という主旨が目立ちました。意見としては正当ですが、記事内容への反論としては噛み合っていないと感じます。何故なら、ブログ主は車道左側通行原則を知って書いていると思われるからです。道交法を知った上で、「車道の自転車は邪魔だから歩道を走れ」と言っているわけです。邪魔に思う気持ちは理解できなくはありません。「邪魔だから轢いてやった」とか「邪魔だからクラクション連打した」とか書いてあれば叩かれても仕方ないかと思いますが、実はそんなことは書かれていません。「皆殺し」「死ね」という言葉遣いで誤解されているのかも知れませんが…
自転車車道通行原理主義者の主張は道交法に基づいているので法的には正当な場合が多いのですが、法的に正当ならば何をしても良いとは思いませんし、法に反する主張や反社会的な主張であっても一面の真実を含む場合もあります。私自身自転車乗りなので、記事の主張には同意できないものの、車のドライバーの中にはこんな見方をする人も居るのか、という意味ではとても参考になります。削除するのは勿体無い内容。
過去エントリ「ブログ炎上マニア」を嫌悪するに書いた通り、自説と異なるという理由だけでブログを炎上させようとする人々は好きになれないのです。
【関連エントリ】
「ブログ炎上マニア」を嫌悪する
『「炎上」の力学』を評する
コメント抹殺は言論弾圧ではない
【あとがき】 自転車の車道通行と歩道通行の問題については、近い将来、このエントリの続編という形で、自論を紹介する計画があります。万一の炎上に備え、コメントoffモードで書きます。