2005年05月02日

コメントスクラムに関する私見

まずはお知らせ。カテゴリ「ブログ論」を新設し、過去の関連記事のいくつかを移しました。このエントリも「ブログ論」です。

前記事「私への反論や異論はご自分のブログで…」で、小倉秀夫弁護士のブログにおける「コメントスクラム」の存在について触れました。ここでは少々中身に触れてみます。小倉弁護士のブログ観と彼を批判する人々の言い分について私なりの論評を行います。関連ブログを常連的に見ている方にとっては1ヶ月遅れのネタだと思いますが、私がこの問題の存在を知ったのは昨日のことですので、ご容赦ください。また、各方面に対して批判的なことを書くと思います。反論がありましたらトラックバック経由でお願いします。

A. 「コメントスクラム」と、それに対する批判について
小倉氏のブログの4月16日の記事コメントスクラムについてを例に挙げて論じます。「コメントスクラム」の定義を再引用。
特定のブログのコメント欄に、多数のコメンテーターが殺到し、ブログ主を批判、非難、中傷したり、揚げ足取りやくだらない質問が執拗に繰り返される現象

この造語そのものについては、私は何らモンダイ無いと考えます。類似の言葉に「フレーミング(flaming)」がありますが、これはあくまでもネット全般が対象。「コメントスクラム」は、小倉氏のブログや一部の政治関連ブログに見られる「多数派がブログ主をコメント欄で叩く現象」を的確に表現していると思います。

この造語に対する反論として「批判者は予め結託してはいないから“スクラム”は不適切」という意見も多数書き込まれていますが、同じ意見を持った人々が自動的に結託する現象も“スクラム”と呼んで構わないと思うのです。

実際、当該エントリの110個のコメントを見る限り、半数以上は説得力皆無の批判だと感じました。例えば「TOPの画像が悪い」とか、「(小倉氏は)半日もしないうちに完全論破されているようですが」などと主観的にアジるようなコメントとか、些細な書き間違いを大袈裟に指摘するだけのコメント等は、傾聴に値しないと思います。私なら即座に削除するかもね。

ただ、記事後半部で「ストーカー等規制法」を持ち出した箇所は蛇足の感があります。小倉氏自身も認めている通り、コメント欄での匿名誹謗中傷がストーカー行為に該当するケースは考え難いからです。この件については突っ込まれても仕方が無いかもしれません。やや脇が甘いというか隙が多いというか…

終了してから言うのも何ですが、小倉氏のような人はコメント欄を閉じてトラックバックのみで運営する方が良いと思いますがねえ。建設的な批判や好意的な意見を潰したくはない、という意向なのかも知れませんが、それらも含めて全部トラバしてもらう方針で構わないと思うのですが…

B. 小倉氏のブログ論について
これについては、YomiuriWeekly2005年4月17日号の記事
 大流行「ブログ」でストーカーに狙われる
が分かりやすいでしょう。やはり各方面から批判を浴びている記事です。前半は、ブログの内容から個人情報を割り出されてストーキングされた実例。後半の「ブログの「2ちゃんねる化」」のセクションに小倉氏が登場します。気になった箇所を引用。
「実際、コメントスクラムで閉鎖に追い込まれたブログは多い」

 と小倉弁護士は言う。

 なかには名誉棄損罪、侮辱罪にあたるコメントもあるが、問題なのは匿名である点だ。

 ネットの世界には、民族差別的な書き込み、極端な政治思想を持つ「ネット右翼」など、匿名を隠れ蓑に無責任な発言をする人々が多数存在する。これまで「2ちゃんねる」などで暗躍していた彼らが、ブログの流行で活動の場を広げる可能性は高い。

 米国では、昨年から今年にかけ、CBSの報道内容やCNNの幹部の発言をブロガーたちが追及、関係者を辞任に追い込むなど、巨大メディアをも動かす影響力を持つに至っている。米国ではブログが「第五の権力」にまでなろうとしているのだ。

 しかし、日本の現状では、その発展に暗雲、と言わざるを得ない。

 「米国では実名での情報発信、実名での反論が主流で、信用性を保っている。匿名のコメントスクラムが起こりやすい日本では、ブログがそこまで力を持つか疑問」(小倉弁護士)

「ネット右翼」の定義がこれで良いかは疑問ですが、本筋から外れるので不問とします。

確かに、2ちゃんねる独特のマナーを一般サイトやブログに持ち込む連中は私も大嫌いです。2ちゃんに(・∀・)カエレ!

ただ、小倉氏が「実名だから信用でき、匿名では信用ならない」と断定しているのであれば、納得いきません。HNで意見を述べるブログは信用できないのでしょうか? 匿名のアマチュアであっても、信用できる文章を書く人は少なくないでしょう(もちろん事実調査能力ではプロに及ばないわけですが…)。匿名性と無秩序性は切り離して考える方が良いと思います。

C. まとめ 
以上に述べた通り、小倉氏の主張に対する私の考えは、賛同半分、懸念半分と言ったところです。

ところで、小倉氏に全面的に批判的なブログを幾つか見て回りましたが、殆ど全てが「保守派」もしくは「ネット右翼」でした。(なお、「ネット右翼」の定義については、記事「ネット右翼の定義いろいろ」をご参照ください)

結局、小倉氏のブログで起きているコメントスクラムの本質は、人権保護法案問題や政治的立場などで意見を異にする人々(ブログ界では多数派)が、小倉氏の脇の甘さにつけこむような形で言い掛かりをつけている、ということなのでしょう。
posted by D Slender at 22:44 | ローマ | TrackBack(0) | ネット問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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