2007年01月30日

オーストラリアで再利用下水飲用へ

オーストラリアが長期的な干ばつに見舞われているようです。

リサイクル下水、飲むしかない…干ばつ豪、08年から(読売新聞)
 干ばつに苦しむオーストラリア北東部クインズランド州政府は28日、下水を飲料用にリサイクル処理した水を同州の一部で2008年から使用すると発表した。

 同州は、下水再利用の是非を問う住民投票の取りやめも明らかにした。住民に是非を聞いている余裕がないのが実情という。

 州政府のビーティー首相は、「大変な決断だが、水を飲まなければ死ぬ。ほかに方法がない」と、住民に理解を求めた。地元紙によると、このまま干ばつが続けば、同州の水源は09年に枯れるという。

 オーストラリアは現在、史上最悪といわれる干ばつに見舞われており、全国で下水再利用への関心が高まっている。ただ、住民の抵抗感は強く、最大都市シドニーを抱えるニューサウスウェールズ州首相は再利用に反対を表明、これまでのところ再利用を実施している州はない。


さて、以上に引用したニュース記事は興味深いのですが、肝心な情報が抜けていると感じました。

それは、「現在の技術で下水をリサイクルした水は飲用可能なほど安全なのか? もしくは専門家は安全だと考えているのか?」ということ。これは絶対に欠かせない情報でしょう。もしも安全だとすれば、住民の抵抗は単なる心理的抵抗感に過ぎないことになります。一方、安全だと言い切れないなら、住民投票なしに利用を表明した為政者にモンダイありということになります。

早速、読売の記事見出しにある「リサイクル下水」でGoogle検索しましたが、それらしいpageがヒットしません。むむ? 一般的な用語ではない? そこで、「下水の再利用」で検索してみたところ、見つかりました。既にシンガポールでは下水再利用水を間接的に飲用しているようです。詳しくは以下のpageで。
水はただではないという文化(ミツカン水の文化センター)
特集:シンガポールの水循環政策(財団法人自治体国際化協会)
2つ目のpageから少し引用します。
 シンガポールでニューウォーター(NEWater)と名づけられたこの水は、下水処理場で通常の処理が終了した水に、更に3段階の浄化処理を施し、飲用可能な水準まで高度処理した再利用水である。
 PUBと環境省の共同プロジェクトとしてニューウォーター開発研究が始まったのは1998年のことである。研究の主な目的は再利用水の原水としての利用の可能性の検討であった。2000年5月には、1日当たり産水能力1万m3のパイロット施設がベドック下水処理施設の下流に建設され、2年間にわたって実証研究が行われてきた。
 PUBは、ニューウォーターの処理コストは海水の淡水化費用の約半分であるとしている。マレーシアとの水源の問題に関する交渉が難航する中、2002年7月、再利用水の利用について2年間にわたって調査を続けてきた専門家委員会より、ニューウォーターは米国と世界保健機関(WHO)の飲料水水質基準を満たしているという報告がされた。この報告を受けたシンガポール政府は、ニューウォーターの上水利用に対する心理的な抵抗感を取り除くため、国内各地で国民向け説明会を開催し、ペットボトル入りのニューウォーターの頒布を行った。
 また、首相をはじめとする閣僚らがニューウォーターを口にする様子をテレビや新聞紙上で流すなど、メディアを使った広報活動も大々的に行われた。その甲斐あってか、試作ボトルは100万本以上が製造され、国民への浸透は順調に進んでいるようである。
 こうした広報活動の後、政府は2003年2月からニューウォーターを貯水池に放水し、原水としての利用を開始することを発表した。放水されるニューウォーターの全消費量に対する割合は当初は1%未満であるが、政府はマレーシアとの協定のひとつの期限が切れる2011年までにこの割合を2.5%に上げるとしている。
 ニューウォーターの上水利用では、貯水池に放水して混合し、通常の浄化処理を施してから給水する、計画的間接飲用化と呼ばれる方法がとられる。計画的間接飲用化は米国の各地で20年以上の実績があり、貯水池の水と混合することで心理的な抵抗感を軽減し、処理過程で失われたミネラル分を添加できるという利点がある(なお、川の上流地点で使用済みの水を放水し、下流地点で原水を取水する方法は、非計画的間接飲用化といわれる。)。

なるほど。最新技術で下水をリサイクルすれば、コストはかかるものの、全く問題なく飲用できるわけですな。

ですから、もしもオーストラリアで導入される再利用技術がシンガポールのものと同じだとすれば(多分そうだと思いますが)、水質については心配無用。オーストラリアの住民の皆さん、安心してください。元々はウ●コなどが含まれていた水だと考えると抵抗感があるのかも知れませんが、シンガポールの人は既に飲んでいるのですから、大丈夫ですよ。

ところで、読売の記者がこのようなシンガポールの前例を知っていて記事を書いたのかどうか、ちょっと興味があります。
posted by D Slender at 07:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 科学・教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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