下に引用したように、東京都が自転車へのナンバープレート装着を検討しているようです。このニュースを見て、スポーツ自転車乗りの恐らくほぼ全員が真っ先に感じる疑問は「自転車後部のどこに付けるのよ?」だと思われます。視認性を考えると後輪フェンダー(泥除け)がベストでしょうが、大多数のスポーツ自転車にはフェンダーが付いていませんからねえ。サドル下という手もありますが、サドルを低く下げていたりサドルバッグを付けていたりすると無理ですからねえ。そんな事情等があるため、この条例案には各所から反対の声が上がることでしょう。
さて、このニュースでもっと気になったことがあります。おそらく朝日新聞の記事の書き方の問題ですが、本文冒頭の「運転マナー」という言葉です。マナー(manner)とは態度、作法、行儀等の意味があり、日本では主に「他者を気遣う行動や所作」の意味で使われることが多いと理解しています。言うまでもなく法令などのルール(規則)とは別概念です。ところが、自転車に関して社会的に問題視されている様々な行為、例えば歩道での歩行者妨害や夜間無灯火や車道逆走や違法駐輪や一時停止不履行などは、いずれもマナーどころではないルール違反に他なりません。
ですから、この記事の書き出しは「自転車のルール違反防止およびマナー向上のため」などとするのが適切でしょう。この件に限らず、「ルール」と「マナー」はしっかり区別すべきだと思います。ルールは守られるべきもの。特定のマナーに従うかどうかは個人の判断に任されるべきもの。マスメディアがルールとマナーを混同することによって、ルール軽視の風潮が強まることを危惧しています。特に道路交通に関しては、ちゃんと守られていないルールが既に幾つか存在するわけですから(←当ブログの現在のタイトルに通じます)。
以下、朝日新聞の記事へのリンクと一部引用です。
「自転車にもナンバーを」 東京都、装着義務化を検討
自転車の運転マナー向上のため、東京都が自転車へのナンバープレート装着義務化を検討している。購入時のデポジット(預け金)制度も導入し、放置自転車を減らす考えだ。有識者会議の提言を受け、都は条例化をめざす。
都の構想では、購入時に利用者が自転車店で一定の預け金を支払い、氏名や住所などを登録した上で、自転車後部にナンバープレートをつける。(後略)