国語調査:「怒り心頭に発する」を「達する」と誤用多く(毎日新聞)
調査結果の数値の部分だけ引用します。
◇文化庁 国語世論調査◇
■どっちを使う?(◎は本来の言い方)
◎あいきょうを振りまく 43.9%
あいそ(う)を振りまく 48.3%
◎怒り心頭に発する 14.0%
怒り心頭に達する 74.2%
◎腹に据えかねる 74.4%
肝に据えかねる 18.2%
◎言葉を濁す 66.9%
口を濁す 27.6%
■重複した言い方(気にならない人の割合)
あとで後悔した 54.4%
一番最後 50.5%
従来から 74.4%
■誤った言い方(同)
元旦(元日の朝)の夜 40.8%
白羽の矢が当たった 35・3%
そもそも「誤用」という言葉が適切かどうかも少し疑問です。「昔から慣用的・習慣的に使われてきた言葉が正しい」という価値観に立てば「怒り心頭に達する」「愛想をふりまく」は誤用ですが、「多くの人が正しいと認めれば正しい」という考え方を採用すれば、「誤用」でも何でもありません。
言葉というものは、相手に意図が伝わることが何より大事。伝わりさえすれば、文法的または慣用的に少々誤りがあっても、咎められるべきではないと思います。
過去エントリ合理的な誤用(「ら抜き言葉」など)にも書きましたが、私自身はできるだけ「誤用表現」を使わないように努めていますが、他人の「誤用」を注意するような真似は決してしません。
そういえば、2chなどの掲示板で「的を得る」のような誤用を使う人に対し、「的は射るものだ」のような指摘を書き込む人を時々見かけます。他のレスのついでに指摘するならまだしも、指摘だけの一行レスって非常に趣味が悪いと私は感じています。
【後日追記】なお、文化庁の報告書では「怒り心頭に達する」などを“誤用”とは呼んでおらず、“本来の言い方ではない”いう感じの表現になっています。ですから、“誤用”というのは一種のマスメディア用語だと言えると思います。
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