2006年07月27日

怒り心頭に達するでも良い

正直、「怒り心頭に達する」が「誤用」だとは知りませんでした(私自身がこの表現を文章中で使うことはまずありませんが…)。

国語調査:「怒り心頭に発する」を「達する」と誤用多く(毎日新聞)
調査結果の数値の部分だけ引用します。
 ◇文化庁 国語世論調査◇

■どっちを使う?(◎は本来の言い方)
◎あいきょうを振りまく  43.9%
 あいそ(う)を振りまく 48.3%

◎怒り心頭に発する    14.0%
 怒り心頭に達する    74.2%

◎腹に据えかねる     74.4%
 肝に据えかねる     18.2%

◎言葉を濁す       66.9%
 口を濁す        27.6%

■重複した言い方(気にならない人の割合)

 あとで後悔した     54.4%
 一番最後        50.5%
 従来から        74.4%

■誤った言い方(同)

 元旦(元日の朝)の夜  40.8%
 白羽の矢が当たった   35・3%

そもそも「誤用」という言葉が適切かどうかも少し疑問です。「昔から慣用的・習慣的に使われてきた言葉が正しい」という価値観に立てば「怒り心頭に達する」「愛想をふりまく」は誤用ですが、「多くの人が正しいと認めれば正しい」という考え方を採用すれば、「誤用」でも何でもありません。

言葉というものは、相手に意図が伝わることが何より大事。伝わりさえすれば、文法的または慣用的に少々誤りがあっても、咎められるべきではないと思います。

過去エントリ合理的な誤用(「ら抜き言葉」など)にも書きましたが、私自身はできるだけ「誤用表現」を使わないように努めていますが、他人の「誤用」を注意するような真似は決してしません。

そういえば、2chなどの掲示板で「的を得る」のような誤用を使う人に対し、「的は射るものだ」のような指摘を書き込む人を時々見かけます。他のレスのついでに指摘するならまだしも、指摘だけの一行レスって非常に趣味が悪いと私は感じています。

【後日追記】なお、文化庁の報告書では「怒り心頭に達する」などを“誤用”とは呼んでおらず、“本来の言い方ではない”いう感じの表現になっています。ですから、“誤用”というのは一種のマスメディア用語だと言えると思います。
タグ:誤用表現
posted by D Slender at 07:29 | Comment(0) | TrackBack(3) | 言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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