2011年11月19日

無信号横断歩道での歩行者優先を厳守せよ

※当エントリは2010年4月に新規作成しましたが、ブログテーマを横断歩道問題にほぼ限定するのを機に、若干の加筆訂正を加え、改めて本日(2011/11/19)付のエントリとします。当ブログの主張の基調エントリでもあります。

まず、道路交通法第38条を引用しておきます。
第三十八条  車両等は、横断歩道又は自転車横断帯(以下この条において「横断歩道等」という。)に接近する場合には、当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下この条において「歩行者等」という。)がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道等の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。
2  車両等は、横断歩道等(当該車両等が通過する際に信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等により当該横断歩道等による歩行者等の横断が禁止されているものを除く。次項において同じ。)又はその手前の直前で停止している車両等がある場合において、当該停止している車両等の側方を通過してその前方に出ようとするときは、その前方に出る前に一時停止しなければならない。
3  車両等は、横断歩道等及びその手前の側端から前に三十メートル以内の道路の部分においては、第三十条第三号の規定に該当する場合のほか、その前方を進行している他の車両等(軽車両を除く。)の側方を通過してその前方に出てはならない。
   (罰則 第百十九条第一項第二号、同条第二項)

第38条1項によれば、信号の無い横断歩道を横断しようとする歩行者等がいる場合、車両は横断歩道または停止線の直前で一時停止することが法律で定められているわけですが、私が見る限り、残念ながらこの法律を遵守している運転手は多くはないようです。

さて、次の動画が2ch等のネット上で話題になっていることに気付きました。

ドライブレコーダー 身軽な児童、間一髪!

動画に登場する軽トラックは上記第38条第1項に違反しているのみならず、第2項以降の横断歩道直前追越禁止にも抵触しています。軽トラックの運転手が責められるに値することは自明でしょう。2chでの論調をみても、この点には多数が同意しています。ところが、停止線手前での一時停止を順守した撮影車を批判する意見も少なくないのに驚きました。法律を順守する人が責められるのは納得いきません。

私は日本の道路交通法はいわゆる交通弱者保護の観点からは結構良くできていると思っています。現実のドライバーも殆どの法律をきちんと守っていて、歩行者と車両の共存が割と良くできている国だと感じています(インドネシアなどの発展途上国での車の傍若無人ぶりは酷いものですからねえ)。それだけに、横断歩道での歩行者優先を守れない人が何故多いのか、非常に不思議です。

Webを見て回ったところ、無信号横断歩道で一時停止しないドライバーの言い分として、次のようなものを時々見かけることに気づきました。
1. 自分だけが一時停止しようとすると後続車に追突されるおそれがある
2. こちらが停止して歩行者が横断を始めても、対向車が停止しない場合歩行者を危険に晒すことになる
3. 横断歩道で頻繁に減速または停止すると、車がなかなか進めなかったり、渋滞を引き起こしてしまい、「交通の安全と円滑(道路交通法第一条)」が阻害される

これらの主張に反論しておきます。

1.については、横断歩道に近づく際に予め十分に減速すればよいのです(この点は重要なのでフォントを大にします)。さすがに後続車も減速するでしょうから、急停車の必要が無くなり、追突の危険性もほぼ無くなります。無信号横断歩道の手前数十メートルには菱形道路標示があるので横断歩道の存在に気づくのは難しくありません。横断しようとする歩行者等が明らかに存在しない場合を除き、菱形道路標示にさしかかったら減速することを心がければO.K.です。

2.については、万一対向車と歩行者が接触したとしても、少なくとも自車は加害者にも被害者にもならないわけですから、遠慮なく一時停止すれば良いではありませんか。しかも、自分が止まったことに釣られて対向車も止まってくれる可能性が高まるので、より安全だと思われます。

さて、1.2.の主張は歩行者の安全に直接関わるので、賛同はできないものの傾聴に値します。歩行者の立場としては、1.2.の主張や歩行者の見落とし等が理由で止まらない運転手が存在するおそれがあるため、横断の際に左右を確認するのが無難でしょう(その一方で、歩行者の安全確認は法的義務ではないことも注意しておきます)。

しかし、3.の主張は次元が違います。車が進めないと困るという言い分は私には単なるエゴとしか思えませんが、それはさておき、車がなかなか進めない状態の方が事故が起こりにくくてむしろ「安全」ではありませんか。また、道路交通法の目的の一つである「交通の円滑」については、横断歩道上は歩行者を優先的に通すことを含めた「円滑」であると解釈されるべきでしょう。

上記1.〜3.とは別に、道路交通法第38条そのものに不備があるような主張もごくたまに見かけますが、仮に全ての車両が第38条を遵守していれば横断歩道上の事故は絶対に起きないわけですから、法律に欠陥はありません。

やや長くなりましたが、私の主張の結論は次の通りになります。
全ての車両が道路交通法第38条を遵守し、無信号横断歩道での歩行者優先を保障するのが望ましい。車が無信号横断歩道に接近する際に十分に減速していれば(ただし横断しようとする歩行者が居ないことが明らかな場合を除く)、横断歩道での一時停止に伴う危険は無い。

最後になりますが、第38条を守らない車両運転手が少なくない状況を改善するには、警察による取締強化が一番だと思われます。ただし、私はこれまで横断歩行者妨害の取締りを見たことがありません。しかし、webを検索すると、実際に取り締まられた人の文章が結構Hitしたりします。地域差があるのでしょうか。歩行者の立場からすると、幹線道路での速度違反取締りなどより、横断歩道での車両取締りに重点を置いてくれる方が有難いと感じます。こんな弱小ブログで書いても意味がないとは思いますが、各都道府県の警察の皆様、ご考慮をお願いいたします。
posted by D Slender at 00:00 | ムンバイ ☀ | Comment(2) | TrackBack(0) | 横断歩道問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
まさにそのとおりだとおもいます。
私も横断歩道における自動車の傲慢で自己中心的、傍若無人な交通犯罪を許せない思いを、日々いだいており、警察にも何度も取り締まり強化の要請をしました。
しかし、警察はのらりくらりと回答し「努力する」とは言いましたが、現状、何も変わっていません。
学校団体や保護者団体、自治会等に働きかけ、地域の声として警察に陳情することが、やはり効果的なのでしょう。議員にも協力を要請して、議員から警察への要請という形を取れば、効果は強まりそうです。
市民らは、もっともっと横断歩道における自動車の傲慢な交通犯罪行為である道交法38条違反について取り締まるよう、警察に繰り返し要請しつづけてよいものです。歩行者や自転車は、その交通犯罪行為により横断歩道を安全に渡れないようにされている被害者なのですから。その権利は大いにあるわけです。また、犯罪者を野放しにすることは、それに加担することも意味してしまう場合もあります。ならば、なおさらです。放っておけば増長し、エスカレートし、更に道交法38条違反が蔓延するだけなのですから。どこかでストップをかける必要があります。
Posted by 佐藤 at 2012年10月21日 22:20
まさにそのとおりだとおもいます。!!
Posted by HUGO at 2012年11月04日 16:19
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