千葉県浦安市は13日、同市が東京ディズニーランド(TDL)で行った成人式についての朝日新聞のコラムが「本市の新成人に対する中傷だ」として、謝罪や掲載に至った経緯などの説明を求める市長、教育長名の抗議文を同社長あてに郵送した、と発表した。
同紙の10日付夕刊の1面コラム「素粒子」は、成人式について「浦安の新成人。遊園地のネズミ踊りに甘ったれた顔して喜んでるようじゃ、この先思いやられる」とシニカルに書いている。
浦安市は「新成人が自ら実行委員会を立ち上げ、皆で考えて作りあげた式だったのに『ネズミ踊り』という表現は配慮が足りない」としている。
式はTDLで約40分間行われ、そのうち5分間程度、ミッキーマウスなどのキャラクターがショーに出演したという。
まずは私自身の見解を。TDLでの成人式に喜んでいるというだけでシニカルに捉えるのは如何なものかと思います(騒いで式進行を妨害するような新成人は叩かれても仕方ないですが)。つまり、この件に関しては朝日の記事を支持しません。
とは言え、TDLのショーを「ネズミ踊り」と表現するようなメディアが存在しても構わないと思います。事実誤認や「やらせ」は言語道断ですが、主観的評価は人それぞれだからです。そもそも、メディアが完全に客観的立場で報道するなど、不可能なことでしょう。しかも、今や、ニュースに対する論説は大メディア以外に個人ブログなどのWeb上でも読める時代です。
以前から何度か書いていますが、大メディアが果たすべき最低限の役割は「正確かつ詳細な一次報道」(コレはプロの記者でないと殆ど無理)に尽きると思います。その一方で、「優れた社会観や倫理観」などをメディアに求めるべきではないと思っています。それよりも、様々な見方の意見が読めることの方がずっと大切ではないかと。最終的にどの見方を採用するかは読者に委ねられるわけです。
浦安市の抗議に対して、朝日がどう対応するか、非常に興味があります。市の意見に配慮した“大人の判断”で謝罪&撤回するのも良いでしょうが、個人的には抗議を突っぱねて欲しいです(念のため繰り返しますが、朝日の記事に賛同しているわけではないですよ)。
朝日新聞といえば、主に政治関連でネット世論の多数派と異なる主張を掲げていることが原因で叩かれることが多いメディア。私自身、彼らの主張に賛同できないケースが多々ありますが、主張としての存在意義は大いにあると思っています。私から朝日新聞に望むことがあるとすれば、「事実報道だけは正確かつ客観的に行ってください」という一言のみ。あとは従来通り、自分たちの主張を思う存分に書けば良いと思います。