2009年02月15日

パリ地下鉄自殺防止キャンペーンへの所感

5日前のニュースではありますが、印象に残ったので…

「パリの地下鉄では自殺しないで」、仏国鉄がキャンペーン(AFP)
地下鉄への飛び込み自殺が急増しているパリで、フランス国鉄(SNCF)が自殺志願者に「地下鉄への飛び込み以外の方法」を選ぶよう呼び掛けるキャンペーンを開始する。

 パリ首都圏では平均2日に1回、電車への飛び込み自殺が発生しており、飛び込みによる年間自殺者数は2007年の148人から2008年には20%増え、181人に上った。

 SNCFの首都圏域を統括するジャンピエール・ファランドゥ(Jean-Pierre Farandou)氏によると、特にラッシュアワーの飛び込みが1年間で72%の激増を示した。

 飛び込みがある度に約10万人の動きに影響が出る上、約100本の運行のずれがその日1日続き、ただでさえ限界いっぱいの首都圏通勤網が大打撃を受ける。

 こうした状況を受けSNCFは、自殺するという行為の「根本問題には取り組まないが、自殺の手段に電車への飛び込みを選ばないよう」呼び掛けるキャンペーンを計画していることを同氏は明らかにした。乗務員や駅職員らが、自殺するおそれのある人を発見する訓練を受け、飛び込みを防止することなどができるとも述べ、また啓蒙活動で飛び込みが激減したカナダの例を挙げた。パリの地下鉄網を運行するパリ市交通公団(RATP)と共同キャンペーンを行うという。

 ファランドゥ氏は、電車への飛び込みは決して「確実な方法」ではなく、多くの人が身体に障害を負って生き残っている結果を、自殺志願者はよく理解すべきだと語った。

 全国的に飛び込み自殺が増加しているのはパリの地下鉄網のみの現象だが、理由は判明していない。フランス全体での2008年の自殺者数は1万人を上回ったが、この総数自体は2000年以来大きくは変化していない。


今の日本では成立しないキャンペーンだと思われます。「自殺の手段に電車への飛び込みを選ばないように」という主張は、一部世論やメディアから「他の手段での自殺を勧めるのは言語道断」のようなイチャモンをつけられて潰されてしまいそうです。かつての名著「完全自殺マニュアル」への世間の反応を見ても明らかでしょう。客観的に考えれば、決して自殺を勧めているわけではないんですがねえ。

他国の事情はよく知りませんが、少なくとも現在の日本では「自殺はいけないことだから完膚なきまでに全否定しなければならない」という思い込みに支配されている人やメディアが少なくないと思われます。特に近年そのような傾向が強まってきているようです。「完全自殺マニュアル」が発売後何年も経ってからR-18指定されるようになったのがその証拠です。

この問題に限らず、近年の日本は言論や表現が若干“不自由”になりつつあるような気がして、少々危機感を抱いています。公共の福祉や他人の名誉を害するような言論は言語道断ですが、「自殺するなら他人に迷惑をかけない首吊りで」という類の主張は許容範囲であるべきだと考えます。
posted by D Slender at 23:54 | ムンバイ 🌁 | Comment(6) | TrackBack(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
> 「完全自殺マニュアル」が発売後何年も経ってから R-18 指定されるようになった

あの本は発売当時から物議をかもし、当時は R-18 指定どころか発売禁止措置まで行くか、という勢いで、ほとんどの書店が販売を自粛したために同書が書店から一斉に消える騒ぎがありました。

少なくとも「自殺は絶対悪である」という認識は、日本には当時からあったはずで、いまさら論ずることではないように思えます。
Posted by Red cat at 2009年02月16日 19:25
訂正です。
> 「自殺は絶対悪である」
は「自殺の容認は絶対悪である」と読み替えてください。
Posted by Red cat at 2009年02月16日 19:27
発売当初の書店の販売自粛については知りませんでした(私自身はこの本の入手に苦労しなかった)が、調べてみたらそういうことがあったようですね。

各都道府県による有害図書指定など、制度(ルール)として規制しようという動きが今世紀になってから加速している状況を私は懸念しているわけです。
Posted by D Slender at 2009年02月16日 21:27
> 各都道府県による有害図書指定など、制度(ルール)として規制しようという動きが今世紀になってから加速している状況

これについては全くの同感です。出版物に限らず、様々な表現の規制が今世紀に入ってから加速している状況は見過ごせませんね。
Posted by Red cat at 2009年02月18日 04:34
> 「自殺するなら他人に迷惑をかけない首吊りで」という類の主張は許容範囲であるべきだと考えます。

他人に迷惑をかけない自殺というのは、この日本ではほぼ完全に存在しないと言えます。
その周囲の人に与える心身の健康上の影響は極めて大きいものですし、そのニュースが報道されるだけで、社会に大きな影響があります。
会社員でしたら、企業に与える被害も甚大です(経済的損失、書類上の手続き、本人の業務etc)。

一度、「自死遺族」の言葉を検索エンジンで調べてみることをお勧めします。
Posted by Flon at 2009年02月23日 13:32
いろんな活動にどんどん利用してください。

死なないで運動スタートしました!

ふっと、いなくなってしまいそうなあの人。

声をかけても聞こえないかも。

思いを伝えようとしても届かないかも。

だから詩にしました。だから曲にしました。

あの人といつも一緒に生きていたい。

沢城こゆきの歌う「死なないで」

今年もまた五月がやってくる。

沢城こゆきの歌う「死なないで」
http://shinanaide.seesaa.net/?1238857250
Posted by ロック小僧 at 2009年04月05日 00:37
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