訃報:作家、泡坂妻夫さん 75歳…本格ミステリーで人気(毎日新聞)
人情味豊かな本格ミステリーで知られる作家、泡坂妻夫(あわさか・つまお、本名・厚川昌男=あつかわ・まさお)さんが3日、死去した。75歳。葬儀の日取りは未定。喪主は妻厚川耀子(あつかわ・ようこ)さん。
都立九段高校を卒業後、紋章上絵師の家業を継ぎながら、奇術を愛好し、プロ級の腕で知られた。75年「DL2号機事件」で第1回幻影城新人賞佳作に入賞してデビュー。この作品で名探偵、亜愛一郎が誕生した。
奇術を小道具にした「11枚のとらんぷ」、小説の構造そのものをトリックにした「生者と死者」など、本格物でミステリーファンの熱心な支持を集めた。他の作品に「乱れからくり」(日本推理作家協会賞)、「折鶴」(泉鏡花文学賞)、「死者の輪舞」「毒薬の輪舞」「迷蝶の島」など。90年には職人の世界を描いた「蔭桔梗」で直木賞を受賞した。
個人的に、この人の初期の作品が大好きです。特に、亜愛一郎シリーズの第1短編集「亜愛一郎の狼狽」(創元推理文庫)は日本のミステリの中で私的再読回数ナンバーワンです。長編第1作「11枚のとらんぷ」(創元推理文庫)も傑作。
【参考リンク】私の感想文
月並みではありますが、ご冥福をお祈りします。
ところで、泡坂妻夫氏の訃報は複数のマスメディアで報じられましたが、私は上記の毎日新聞の記事がベストだと感じました、理由を以下に列挙します。マスメディア関係者の皆さんは参考にするように(←偉そう)。
● 紹介されている作品数が割と多い
● 共同通信も悪くはないが、やや短く紹介作品数も少なめ
● 産経は内容的には充実してるものの、西暦を用いていないのが不満。個人的に、年号で書かれてもいま一つピンときません。世界中で通用する西暦の方が合理的だと思っています。
● リンクはしませんが、時事通信や読売などの記事は、某作品のトリックをやや割っている感があるのが頂けません。ミステリ作品を不特定多数読者に紹介する場合は十分に配慮すべきでしょう。