ウィルコムのCMに見る、病院内での“PHS”
病院のベッドに寝ている患者が“ケータイ”を使って家族に電話する──。ウィルコムが放映を始めたテレビCMの利用シーンが話題を呼んでいる。
病院内で携帯電話を使っていけないのは当然だが、PHSは送信出力が携帯電話に比べて非常に小さいため、医療機関内での利用も基本的に認められている。実際の病院でも、「災害時に強い点、低SAR値により医療機器や人体に影響が少ないことにより」(ウィルコム)、医師や看護師の連絡ツールとして導入を始めたという。
ウィルコムによると、医療機関への導入例は京都医療センターなど、すでに1200機関。病院側が患者向けにPHSをレンタルしているところもある。
ウィルコム端末を導入した医療機関では、医者や看護婦が持つ端末に「医療用」と書かれた赤いストラップを付けて、PHSであることを明示したりといった対策が採られている。また「携帯はやめてください。PHSはOKです」といったポスターを使って、啓蒙を進めている病院もあるという。
携帯電話よりPHSの方が安全なのは確かです。携帯電話は駄目でもPHSはOKとしている病院が存在することも事実です。
しかし、「病院内で携帯電話を使っていけないのは当然」というのは実情と異なります。最近は、所定の区域で携帯電話使用を許可している病院も少なくないからです。
たとえば西新潟中央病院では、個室病室での携帯電話使用も原則許可されています。
更に緩やかなのが聖隷浜松病院。外来診察室、集中治療室系、循環器関係の病棟で禁止されているだけです。
昨年、私の身内が心臓病で入院しました。その病院も携帯電話使用可でした。
携帯電話は使用区域さえ守れば危なくないのが現実です。近い将来、携帯電話・医療機器ともに進歩すれば、更に安全になる可能性も高いと思われます。
尤も、事故の可能性がゼロではない限り、全面禁止にして絶対安心できる空間を作るべし、という主張も傾聴に値すると思います(極端な仮定として、誰かがウッカリICUで携電を使ってしまって悲劇が起こることも考えられなくはない)。
とは言え、「病院での携帯使用禁止は当然」とか「ペースメーカ使用者は携帯電話を使えない」などと思っている人が居るとしたら、明らかに誤りです。使用を可とするか否かは個々の考え方次第だと思いますが、客観的な現状認識は正しく持っておきたいものです。
【関連サイト】医薬品・医療用具等安全性情報179号((厚生労働省)
【関連エントリ】心臓ペースメーカについての覚書