2005年12月04日

閉鎖するということ(ミラー)

以下の文章は、かつて「INUさいと」というサイト内にあった「閉鎖するということ」の転載です。詳しい事情は知りませんが、「INUさいと」自体がいつの間にか閉鎖されてしまいました。とても興味深い内容の文章であり、Web上から消えてしまうのは勿体無いので、勝手ながらここに転載しておきます。最後に私自身の補足的意見もつけておきます。

万一「閉鎖するということ」作者の方がここをご覧になっていて、転載されては困るという場合は連絡をください。即刻対応します。

閉鎖するということ (「INUさいと」より転載)

閉鎖するサイトというのを見かけます。今回はサイト閉鎖について書いていこうと思います。もしサイトを閉鎖しようと考えている人、あるいはサイトをいつか閉鎖するかも知れないと考えている人がいたら、ぜひご一読下さい。

時間が無いという人は必要な項目だけ読んで下さい。そもそも何故サイトを閉鎖するのかを知りたい人は サイト閉鎖の理由 を、閲覧者から見てサイト閉鎖とはどういうものなのかを知りたい人は 閲覽者が求めるもの を、とりあえず結論だけ知りたいという人は 最後に をご覧下さい。

サイト閉鎖の理由

どうしてサイトを閉鎖するのか。これを考えるには、まずサイト閉鎖の理由について考えねばなりません。サイト閉鎖の理由は人それぞれでしょうが、大概は以下の三つのうちのどれかでしょう。

更新が出来ない
おそらくこれが一番多いのでは無いでしょうか。数ヶ月間サイトを放ったらかしにしてしまい、その後も更新出来る目途が立たない。だから閉鎖する、と……。個人的には、 更新出来ない=閉鎖という発想は理解出来ません が、ともかく更新することが困難であるために閉鎖するという理由です。
精神的に疲れた
これも良く見かけます。どういうことで精神的に疲れたのかは様々ですが、主に リアルのほうで何かしらあったというのが多い ように思えます。極端に忙しくサイト運営が重荷になった、あるいは学生が管理人で受験勉強で忙しい、などの理由であることが多いように見受けられます。これとは別にネット上で誹謗中傷を受け、精神的なショックを受けたという例もあるようです。
荒らされた
最近はそうでも無いようですが、 掲示板を荒らされたり良く解らんメールを送り付けられたり する、いわゆる荒らしが出現したためにサイトを閉鎖するというものです。サイト全体を閉鎖せずに掲示板だけを閉鎖することもあるようですが、サイト自体閉鎖してしまうことも多々あるようです。
閲覧者が求めるもの

はっきり言わせて貰えば、閲覧者にとってサイトの閉鎖は 百害あって一利なし です。そもそも一度公開した文書を何の予告も無く削除するなんて考えられません。webサイトに自分の書いた文書をUPするという行為は、 その文書を共有資源にするということ です。手前勝手な理由で削除などせず、きちんと責任を取りましょう。

更新の意味は無い

どうもwebサイトは更新しなければならない、あるいは更新しないと価値が下がるように思っている人が居るように見受けられますが、更新しないからといって サイトの価値が下がることはあり得ません。 確かに更新すればサイトの価値は上がるでしょうが、更新しないからといってサイトの価値が下がることは無いはずです。第一、更新出来ないから何だというのですか。仮に更新出来なくてサイトの価値が下がったとしましょう、だからといってサイトを閉鎖する理由にはならないはずです。価値が下がったとしても、それはサイトとしての価値が下がっているだけであって、既に公開した 個別の文書の価値までは下がらない はずです。

例えそれが制作者にしてみればどうでも良いものであったとしても、 閲覧者にとっては有益なもの である可能性がある訳です。webサイトを閲覧している人は様々で、どんなものを求めているか判りません。判らないのですから制作者が勝手にその価値を判断して、「これは削除しても問題無いものだ」と言ってサイトを閉鎖してしまうのは、 一種の迷惑行為 であるとさえ言えます。

例えば、あなたがどうしてもある情報を知りたいと思い検索をしたとしましょう。その時、検索したサイトの中に「更新出来ないから閉鎖しました」というサイトがあったら困る(あるいは嫌)でしょう。入手しようと思っていた情報が手に入らない。しかもそのサイトの管理人が自主的に閉鎖しなければ、情報が手に入っていた可能性が高い。これ程悔しいことはありません。さらにこの場合、検索する側からすればそのサイトが更新を頻繁に行っていたかどうかはどうでも良いことです。何故なら、欲しい情報についての文書は既に公開してあるのですから、別に更新されていようがいまいが関係ありません。そのサイトに初めて足を踏み入れる者にとって、 更新がどれだけ頻繁に行われているか は考慮されません。つまり、 更新の意味が無い のです。

当たり前のことですが、サイトを訪れるのは常連ばかりではありません。新参者もちゃんと居るのです。新参者のことを考えれば、更新出来ないから閉鎖するというのは成り立ちません。

「疲れた」「忙しい」は閉鎖理由にならない

ネットの匿名性が極めて高いのはご存知でしょう。今読んでいるこの文書もどんな人物が書いているのかなど全く想像出来ないはずです。サイト運営に疲れたとか、リアルで忙しいとか、精神的にショックを受けたとか、そういうのは 閲覧者からすればどうでも良いこと です。もちろん、それなりに親しくしていたのならば、 決してどうでも良いことでは無い のでしょうが、それ以外の人にとってはサイトの作成者が今どんな状態にあるのかなど、興味の対象にすらなりません。

そもそも文書を読む時に、その文書の執筆者が今どんな状態かなどいちいち考えないでしょう。文書は それ自体が価値を持つ のですから当然です。例え文書の執筆者が辛い状況にあったとしても、その文書の価値は保たれる訳です。管理人が何か大変な状態でサイトを運営出来ないからと言って、サイトを閉鎖するというのは感心しません。閉鎖するぐらいなら 放置して置いたほうがありがたい とさえ言えます。

サイトを閉鎖するということは、その公開された文書の価値を消す行為です。少なくとも文書は一つの価値を持って存在している訳ですから、運営出来ないだの疲れただの忙しいだのを理由に削除することは出来ないはずです。 閲覧者は文書の価値に惹かれてサイトにやって来ているのです。

荒らされたら掲示板、メールアドレスだけ撤去

確かに荒らされるのは嫌なものですが、だからと言ってサイトごと閉鎖してしまうことは無いでしょう。掲示板を荒らされ「もうどうしようもない状態だ」というなら、 掲示板だけ撤去してしまえば済む話です。何もサイト全体を閉鎖してしまう必要などどこにも無いでしょう。

嫌なメールを送られて来て仕方が無いというなら、 サイトのメールアドレス部分のみを削除 してしまえば良いだけのことです。そして、 既に知られてしまっているアドレスは破棄して、別のメールアドレスを取得 すれば問題は無くなるはずです。変なメールが送られてくる→サイト閉鎖はあまりに 極端過ぎる ように思えます。

くどいようですが、文書はそれ自体が価値を持ちます。無論、 文書だけでなく絵や音楽もそれ自体が価値を持っている 訳ですが、そういった価値あるものをすぐに削除してしまうのは無責任であると言えます。仮にも一度公然に公開したのですから、ちゃんと責任は取るべきでしょう。

最後に

サイトは 閉鎖するべきではありません。 閉鎖するぐらいだったらそのまま放って置いたほうがまだマシというものです。繰り返しますが、webサイトは共有資源です。一度公開した文書を予告無く消すのは、出来るだけ避けるべきです。借りているサーバの都合で……などの場合以外は、 極力削除されないようにするべき であると言えます。

どうしても閉鎖せざるを得ないという場合は、せめて「何月何日に閉鎖する」ということを閲覧者側に知らせるべきです。 何の予告も無く突然閉鎖するのは出来るだけ止めて下さい。

「閉鎖するということ」への補足 (D Slender)

上記「閉鎖するということ」の趣旨に全面的に賛同します。私自身、一度作ったコンテンツや文章は、余程のことがない限り削除しないことを心掛けています。

なお、どうしても閉鎖せざるを得ない状況になっても、貴重なテキストをWeb上から消さずに済む方法として、次の2つが考えられると思います。

  • 信頼できる第三者にサイトごと譲渡する。
  • 閉鎖予告と同時に「著作権放棄&転載自由」を宣言する。価値あるコンテンツならば、誰かが保存して公開してくれることが期待できます。
posted by D Slender at 14:25 | Comment(2) | TrackBack(1) | ネット問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
わかってあげて。
Posted by 日向 at 2006年07月03日 17:13
 たとえ本人が死去したとしても、他の人によりコンテンツが保存されることがありますしね。

例)
http://mikeneko.creator.club.ne.jp/~lab/
Posted by R at 2006年09月02日 10:38
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